by Jendellian


The Cat Has 9 Lives
― GENE SIMMONS INTERVIEWS PETER CRISS ―

"GENE SIMMONS TONGUE"創刊第2号(2002年9月発行)より



この30年近くの間、Gene SimmonsとKISSのオリジナル・ドラマー、Peter Criss ― 1980年にバンドを追われたが、1996年のリユニオンツアーのため、オリジナル ラインアップとして復帰した ― は友人同士であり、敵同士であり、またその どちらでもない様々な関係であったりしたわけだ。今、年齢を経てかつてより ずっと賢明になった"ネコ"は"デーモン"と、この陽気なネコが始めたばかりの俳優業や 現在執筆中の自伝、KISSの初期の頃の思い出、そして年月を経た今、 Gene、Paul、Aceのことを実はどう思っているかを膝を交えて語り合う。

GENE: 出会った時のこと、覚えてる?

PETER: ニューヨークで、1973年頃だったよな。オレは(音楽雑誌の) ローリングストーン誌に「成功するためなら何事も厭いません」って 広告を載せたんだ。その時オレは25歳くらいで(注:ホントは27〜8歳 だったかと思われますが…^^;)、もう行き詰ったなと思ってたんだ。 オレはチェルシー(Chelsea)ってバンドで素晴らしいアルバムを つくって、イケると思ってたんだ。だが、結果はどうにもなりゃしなかった。 それでオレはもうイカれちまって、「オレのビッグチャンスは パーになっちまった」なんて言ってたんだ。絶望的な気持ち になってた。で、自分と向き合ってこう問うてみたんだ。「お前は一体 どれほど成功したいと思ってるんだ?ホントは何がやりたいんだよ? ホントに成功したいのか?このままずるずる行きたいのか?」 で、オレはこれらの問いかけに何の迷いもなかったからこう言ったさ、 「オレはホントに死に物狂いなんだ。広告を打たなくちゃ」ってね。

GENE: オレが電話した時、どこにいた?

PETER: オレはブルックリンの自宅でパーティーをやってるところだった、 当時オレは最初の妻であるリディア(Lydia)と結婚しててね。みんな ワインを飲んで踊ってたよ。電話が鳴って、それはお前からの電話だった わけだけど、お前、すごいマジだったよな。でも、スゴく誠実なカンジに 聞こえてね。広告を見てかかってきた電話はみんなそんなんじゃなかった からオレはピンときたんだ。お前はまるで軍隊に入る時みたいに どんどんと、こうやりだした。「君は痩せてるかい?」で、パーティー に来てるヤツらに向かってオレは大声でこう言った。「お〜い、オレは 痩せてるかね?」。てなわけで、どう考えてもお前も後ろで 騒いでるのが聞こえてただろ。気が触れたヤツかなんかのところに 電話しちまったと思ったに違いないよな。で、今度はお前はこう聞いたんだ。 「君、髪の毛は長いかい?髪は長くなくちゃいけないんだ。」って。 オレは言った「髪は長いよ」。で、お前がオレに質問する度、オレは パーティーに来てるヤツらに(その質問を)きいてたから、「オレは スゲえイケてるかな〜?」「ああ、ヤツはスゴいせ!」とかなんとか いう騒ぎ声が聞こえてただろ。オレは"この男はオカしくなっちまってるに 違いないぜ"と思ったね。だが、オレはいい感触を持ってた。なぜってオレは お前の声を聞いてコイツはオレと同じくらいホントに真剣に成功した がってるぞって感じたからね。

GENE: 君の広告でオレたちが印象づけれられたのは、その文言さ。 「経験11年のドラマー」っていうところじゃなく、「成功するためなら 何事も厭いません」ってやつだよ。まさにこの一言だったね。

PETER: お前はまさにオレと同じものを欲してたんだ。オレたち 双方ともずーっとクラブで演ってて、いい加減うんざりしてたんだよな。

GENE: 当時君は働いてたのかい?

PETER: リディアは素晴らしかったよ。彼女はオレたちが結婚して からというもの、9時から5時まで(ちゃんと)仕事をしてくれてた。 っていうのはオレは彼女に「オレは(普通の)仕事なんか絶対 しないよ。死ぬまでこれでやってくんだ。オレはドラマーさ。 ロックスターになりたいんだよ。オレがなりたいのはそれだけさ。 まともに金が入ってこないからってつべこべ言うなよな。 オレたちこの状況でも結婚するか、さもなきゃ結婚できないかの どちらかさ、オレは自分がなるべきものにならなきゃならない んだからな。」って話したからね。彼女はそういうことには 難色を示さなかった。オレたちは結婚し、彼女は何もかも支払って くれたし、オレが成功するまでゆうに6年間は働いて くれ、オレがやること全てに後押ししてくれたんだ。 オレがスターになるんだって全面的に信じてくれてたんだよ。 こういう女性がひとり、傍にいなくちゃね。

GENE: 二人いてもいいけど。世間じゃロックバンドのツアーってのは ジェット機とホテルのスイートルームがつきものだと思ってるようだが。 KISSの初期の頃のツアーってのは実際どんなカンジだったんだろう?

PETER: オレたちの最初の"移動手段"は牛乳運搬トラックだったよな。 Paulが立ったまま運転してさ、だってこのトラック、椅子が なかったんだもの。こういう古いトラックでは運転手は立ってたもんだよ。 そうやってショウに行ってたのさ。オレたちこのトラックに荷物を 詰め込んで― 実際のところ、オレたち3人はこのトラックに 荷物を詰め込んで、だよな。Aceは怠惰だったよなぁ。ヤツは なーんにもしないんだもの。アイツ、いつだって何かしら具合 が悪いって言ってさ―風邪ひいただとか、指ケガしただとか、犬に 顔食いつかれただとか…。だけど、そういうのがあったからこそ うまくいったんだよな。アイツはそういうヤツさ、とかこいつは そういうヤツさってな。だって、みんながみんな同じ(行動や考え) なんてありえないだろ。いろんなものが混ざってなくちゃ、まるで イタリア料理みたいにね。ソースをつくらなくちゃ、ちゃんと 料理しなくちゃってさ。で、次の日になったらいつだってさらに美味しく なってるってなもんだろ。

GENE: ツアーに出たとき、女のコとはどうだった?

PETER: お前はいっつも"アニマル"だったよなぁ。女、女、また女…。

GENE: そういうことじゃないんだけど。

PETER: オレが女のコといいコトしたかって?そりゃそうさ。 Aceとオレで一度、双子の姉妹とやったことがあるぜ。彼女たち、瓜二つ でね。で、オレたちに一杯食わせてくれたんだな。オレがいただいたのはAceの 女で、ヤツが食ったのはオレの女だった。ベッドで、なんか違うなぁ とは気づいたんだよ、だって、どうも同じじゃないんだもの。 で、やがてふたりはオレたちに向かってこう言った、 「アタシ、ホントはエイミーよ。で、こっちが実はジェーン」。 ツアーなんてそんなもんさ、そんなことばっかやってたよ。

GENE: 君と他のメンバーで誰かの部屋に忍び込んだりしたことは?

PETER: 一度、カナダで、お前部屋に"なんか"連れ込んでたよな― "なんか"って言うのは、オレは部屋から何者が出てくるのかわかんなかった からさ。このおねいちゃんはやたらデカくて汗臭くて不潔なカンジで カバーロール(つなぎ)を着てたんだよな、たぶん金がなくてそれしか 着られなかったんだろ。ま、とにかく、オレたちはカナダに行って、お前は 女と部屋にいたわけだ。で、オレたち3人はそんなバカなことは やめるべきだって思ったわけだ、部屋に入り込んでぶちこわしにしてやろうと。 そこで、オレたちは素っ裸になろうと決めた ―オレたちしょっちゅう 裸になってたよな―で、お前の部屋に忍び込んでベッドの下ですっポンポンで 潜んでた。お前、オレたちが裸でいるのを見るの嫌がってたよなぁ。 「オレのところから"ソイツ"をどけろよ!」って。オレたち、その"モノ"を お前の肩の上にのっけるのが好きだったからな。

GENE: その"モノ"ってのは?

PETER: オレの股間にある"モノ"だよ、デカい"モノ"。Aceとオレは お前の肩のところにオレたちの"一物"をのっけるのが大好きだったよな。 お前、メイクしてて、(気がついて)突如「うわっ!」って言ってたっけ。 ま、とにかく、お前の部屋での話しに戻ろう。オレたち部屋に忍び込んでて、 部屋は真っ暗、お前はよろしくやりはじめ、オレたちは笑うまいとじっと こらえてた。部屋には本能のおもむくままの声だけがとどろき、オレたちは もう、笑い出すまいと必死になった。で、ついに…たぶんAceが吹き出し ちゃったんじゃないかな…あるいは、もしかしたらオレかもしれないけど… で、お前が明かりをつけると床の上にすっ裸の野郎が3人いたってわけだ。 そりゃあ見ものだったよ、おねいちゃんは気が狂わんばかりだったしね。

GENE: KISSでの経験を振り返ってみて、もし、もう一度最初から やり直さなくちゃならないとしたら何かかつてと違ったようにすることは あるかな?

PETER: 沢山あるよ、どういうことかもわかってる。オレは昔は常に 今みたいに物事がはっきりとわかってたわけじゃなかった。今はホントに よくわかるんだ。自分で時々驚くくらいだよ。成功ってのは、オレにとっては "ドラッグ"だったんだ。やめることができなかった。ステージから降りて、 ホテルに戻って次の朝までそのまま酔いしれなくちゃ、みたいな。 オレはそういうのがホント大好きで、溺れてたのさ。でも今となっちゃそんな ことはしないよ。今だったらもっと余裕を持って、もっとリラックスして、 もっと注意を払い、つまらない真似をせず、もっと人の話に耳を傾けて、 自分の"気性"にも、ホントに気をつけてただろうと思う。

GENE: 気性ってのはどういうものだと?

PETER: オレはいろんなことに苛立ってたんだ。その中には個人的なこともあるし、 オレ、今、本を書いてるからそのために(その内容は)とっておきたいんだ。 本は自伝なんだ。KISSのこともその一部には出てくるけど、この自伝は オレの子供時代や貧しい中で育ったこと、そしてそこから苦労して脱却した ことについての話なんだ。

GENE: 他に近々やろうとしていることは何だい?

PETER: 俳優業だね。ホントに熱中してるんだ。オレは小説 「ブリンクス (The Brinks Job)」やテレビシリーズの「 ホミサイド(殺人捜査課(Homicide))」 の脚本も書いたニューヨークの素晴らしい作家、ノエル・ベーン(Noel Behn)と出会った。 妻のGigiと彼は本当に親しい友人同士になってね、数年前、彼が 癌で逝くその時にも傍にいて欲しいって言われたんだ。ノエルを通して、 妻はHBO放映の「オズ( OZ)」 やその他数多くの作品を作ってきたトム・フォンタナ(Tom Fontana)と知り合いに なった。それで、ノエルが亡くなった後、オレたち夫婦はトムとディナーを 共にして、その時オレは彼に「オレは演劇がやりたいんだ。 君の番組に出たいんだよ。」って言ったんだ。すると彼は「(演劇の) 学校に行ってくれよ。そうしたら出演させるから。」と言ってくれた。 オレはトム・フォンタナのためならどーんなことだってやるさ。だって、 彼は約束を守ってくれたんだからな。オレは学校に行った。すると彼は 先シーズンの「オズ」の最初の2エピソードで、バットで二人殴り殺し(て 刑務所送りになっ)た男の役をくれたんだ。オレはまだ学校に行くのを止めちゃ いないよ。(演劇学校に通うことは)オレの人生における最も 素晴らしいセラピー(療法)なんだ。 あと、オレは「キャタパルト(Catapult)」っていう 自分の会社を始めたばかりなんだ。これは"キャットマン"のレーベルに なる予定さ。オレは自分のレコードをリリースしたいと思ってるし、 他人のもリリースすることになるかもしれない。それに、 できればプロデュースもいくらかやりたいと思ってるんだ。 今、まだとりかかってる最中さ。オレは4曲ほど新しい曲を 書いたばかりで、ちょっとした新しいジャズ風アレンジをしたんだ。 来秋(注:2003年秋)までには何かしらの音楽活動を したいね。映画にも2〜3出演したいしなぁ。

=つづく=

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